Sky Rock(スカイロック)

カリフォルニアの Bishop(ビショップ)という場所に、前からすごく見たいと思っていた壁画がありました。Sky Rock(スカイロック)という壁画です。この壁画がある場所は一般に公開されておらず、ネット上で探しても詳細な情報はどこにも出ていません。それはこの素晴らしい貴重な壁画を破損や盗難から守るため。

でも行ったことがある人達のブログを読んでいるうちに、なんとなくですが、行けそうな気がしてきたのです。調べていくうちに、他にも口コミだけで知られている壁画があることがわかりました。13 Moons(サーティーンムーンズ)、Rosetta Stone(ロゼッタストーン)と呼ばれる壁画です。ネット上の情報を寄せ集め、グーグルマップやグーグルアースを駆使した結果、なんとか場所の検討をつけることができました。

そして10月の初め、これら秘密の壁画を探しにいつもの仲間とビショップへ向かったのです。

まずは Rosetta Stone という壁画。他の2つは場所をほぼ確定できていたのですが、この壁画の場所だけは自信がありませんでした。US-395から遠くない川沿いということだったので、多分この辺りかな~という場所まで行って歩き始めると、なんとなく他の人のブログの中で見かけた景色。崖沿いに小さな洞窟が見えてきて、あっ、ここだと思ったら、すぐに Rosetta Stone を発見!あまりにも早く見つかったので、ちょっと拍子抜け(笑)。もうちょっと探し回るかと思ったのに。

 

Rosetta Stone Petroglyphs, Bishop, CA

 

放射状のラインが周りに描かれていて、その中に大きな渦巻きやサークル、手形のようなものが配置されています。何を表しているかは全く想像がつきません。

 

そして次はいよいよ Sky Rockです 。こちらはピンポイントで場所を特定できてはいましたが、岩の大きさや周囲の様子は行ってみないと分からないのでちょっとドキドキ。道沿いのパーキングスポットに着くと、既に車が一台停まっていました。先客がいるようです。ここから急な崖を登って行き、頂上に着くとちょうど他のグループが戻ってきたところでした。

前もってグーグルマップに印を付けてオフラインでも見れるようにしておいたので、それを頼りに歩いて行きました。同じような大きい岩がゴロゴロしている場所なので、帰る時に暗くなってもどこから歩いてきたか分かるように、目印になる物も置いておきました。

そして Sky Rock は思った通りの場所にありました。

 

Sky Rock, Bishop, CA

 

大きな岩のてっぺんが平らになっていて、そこに所狭しと図形や線が描かれています。それが星座や惑星のようにも見えて、まるでプラネタリウムを見ているみたい!

この岩は天国に面しているとも言われているそうです。

私が今まで見てきた壁画は、動物や人物、狩りや農作などの生活の一部を描いたものがほとんどですが、これはそれらと感じが全く違います。こんな壁画は他に見たこと無い、 いったい誰がこの壁画を描いたのでしょう。

 

ビショップの北部には Volcanic Tableland と呼ばれる火山活動によりできた台地が広がっていて、大昔この辺りに住んでいたのは Paiute-Shoshone(パイユート・ショショー二) というネイティブアメリカンの部族。彼らが残した壁画サイトが他にも周辺に沢山あるのですが、スカイロックも彼らに関係があるのでは、と言われています。

 

13 Moons Petroglyphs, Bishop, CA

 

同じエリアにある 13 Moons と呼ばれる壁画。これも予想通りの場所にあったので、探し回る必要はありませんでした。

満月は通常1年に12回ありますが、数年に1度13回ある年があります。この壁画は13個の満月と、その時に起こるイベントのようなものが描かれていると言われています。これもまた素晴らしい壁画!

 

ここで一緒に来た仲間たちとは、一旦別行動を取ることにしました。彼らは今夜泊まるキャンプ場に向かい、私は夕日が落ちるのを見るために、ひとりでこの場所に残りました。

 

Sky Rock, Bishop, CA

 

ここはシェラネバダ山脈が見渡せる広大な台地の上、空と大地がとても近く感じます。

一体どうしたらこんな絵を描くことができるのかな… 。作者はここで宇宙とコンタクトを取っていた…?何を想いながら、何を伝えたくてこの絵を描いたんだろう。遥か時を越えてこの壁画を見ている私に、その何かを感じ取ることができるのかな…?

何も答えは出てこないけど、ひとり静かにスカイロックを眺めているこの時間が、とても神聖で贅沢に思える。良いアングルで撮影するのが難しかったので、あとはもう自分の目にしっかりと焼き付けておこうとひたすら壁画を見つめていました。

とても名残惜しかったのですが、暗くなると道に迷いそうだったので、日が落ちると同時にこの場を離れ歩き出しました。また来るからね、と岩に話しかけながら…。

 

↓動画だと空気感が伝わるでしょうか?

 

 

後日知り合いのアメリカ人女性にこの壁画の写真を見せたら、とても感動してくれました。そして、あなたはどうしてそんなに大変な思いをしてまで壁画を見に行くの?と聞かれ、「自分でもよくわからないけど、どうしてもその場に行って自分の目で見たくなる」と答えると、彼女が言いました。「それは古代の人々が壁画を通してあなたに話しかけているからよ…、あなたはタイムトラベラーなのよ」と。

なんだかハッとさせられました。そうかもしれない… 私達はきっとどこかで彼らの声を受け取っているのかもしれない。何千年も前の人々が描いた壁画に呼ばれ、それをなんとかして見に行こうとする私達は、もしかしたら本当にタイムトラベラーなのかもしれません…。

 

 

 

 

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