イエローストーン国立公園のガイザー(間欠泉)は、どうしてこんなに色鮮やかなのでしょう。
昔は色の違いはミネラルによるものと考えられていたそうですが、現在ではこの美しい色を作り出しているのはバクテリアだということが広く知られるようになりました。
でもいったいどんな種類のバクテリア? 色の違いはどうして?
なんだかとっても興味が湧いてしまったので、調べてみることにしました。
バクテリアの正体は好熱菌
そのバクテリアの正体は好熱菌(Thermophile)というそうです。 Thermophile とは Heat-Loving という意味。つまり ”お熱いのがお好き” なバクテリア達なんですね♪
熱~いお湯の中で気持ちよさそう(笑)。
好熱菌の至適生育温度はおよそ 41℃ から 122℃ だそうです。
極限環境で生きる好熱菌
多くの好熱菌は古細菌(Archaea)という生物グループに分類されています。古細菌は細菌、真核生物と並んで3大生物グループのひとつ。古”細菌”といっても細菌とは性質が大きく異なるため、1990年に新しく独立して分類されるようになりました。強い酸性や高温・低温などの極限環境でも生息可能な生き物です。
好熱菌が作り出す美しい色は、Grand Prismatic Spring (グランド・プリズマティック・スプリング)の色が良い例。
イエローストーンにいる好熱菌の色は、温度が高い方から順に 青 → 黄→ オレンジ → 緑 → 茶 となっているそう。それぞれの温度に適した種類の好熱菌が存在し、その色素の違いが色の違いを生み出しています。
好熱菌のコミュニティー
好熱菌はコミュニティーを形成しながら繁殖しています。
Bacterial Mats とは、バクテリアなどの微生物が何層にもなってできた床のこと。
「バクテリアマットに跡をつけないで下さい」と注意書きがあります。
一部をクローズアップしてみると… うわ~ すごいですね!
細菌が絡み合って鎖状に繋がっているのがわかります。有機物やミネラルなども加わって何層にも重なっているんだそう。これがバクテリアのコミュニティーなんですね。
高温を好む細菌、シアノバクテリア
好熱菌の中には高温を好むシアノバクテリア(Thermophilic Cyanobacteria) という細菌も含まれています。シアノバクテリア とは地球の初期から存在している生物。光合成をして酸素を排出しながら、人間の生きられる環境を整えてくれたとても重要な細菌。
現在モーニング・グローリー・プールに住んでいるのはシアノバクテリア。
元々は緑色の部分が青色だったのですが、観光客が物を投げ入れることによって水底が詰まり、水の温度が下がって緑色になってしまったそうです。
好熱菌の働き
シアノバクテリアは光合成(Photosynthesis)をして酸素を作り出しますが、他の好熱菌は化学合成(Chemosynthesis)をして、硫化水素などの無機化合物を他の好熱菌が利用できる形に変換することができます。
例えばこの Fountain Paint Pot と呼ばれるマッドポット(泥水泉)。
この中に住んでいる好熱菌は水の表面にある硫化水素ガスを硫酸に変え、この酸が周りの火山岩を分解し Clay(粘土)となり、Clay が水と混ざってマッドポットになるのです。
こちらは Red Spouter というマッドポット。勢いよく泥が吹き上がっています。
赤やグレーの色はミネラル(酸化鉄など)によるものだそうです。
まとめ
イエローストーンにある間欠泉の色は好熱菌によるもの。至適生育温度などによって様々な種類がいて、その菌が持つ色素の違いによって色が変わるということが分かりました。
参考:
Life in Extreme Heat https://www.nps.gov/yell/learn/nature/life-in-extreme-heat.htm
Thermophilic Bacteria https://www.nps.gov/yell/learn/nature/thermophilic-bacteria.htm
Thermophilic Archaea https://www.nps.gov/yell/learn/nature/thermophilic-archaea.htm
Thermophilic Communities https://www.nps.gov/yell/learn/nature/thermophilic-communities.htm
Mudpots https://www.nps.gov/yell/learn/nature/mudpots.htm
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