今回は砂漠の生態系についてちょっとお勉強。
ユタ州などの砂漠地帯で、黒っぽくて表面がデコボコした土を見たことありませんか?
キャニオンランズ国立公園やその周辺でよく見かけるこんな土。
この土は Biological Soil Crust といって、表面に生物が住む土壌クラストのこと。生物とはシアノバクテリア(Cyanobacteria)が大半を占めており、他には木や岩の上に生える地衣類(Lichen)、コケ(Moss)、緑藻類(Green Algae)などが含まれています。
シアノバクテリアとは簡単に言うと光合成によって酸素を生み出す細菌。昔は藍藻(Blue-Green Algae)と呼ばれていましたが、細胞内に核が無い原核生物のため、現在では細菌に分類されています。水の中だけでなく砂漠にも繁殖するそう。
約35億年前地球上に出現した最初の生物のひとつで、地表にコロニーをつくり大繁殖。光合成により酸素を排出しながら、現在のような生物の住める大気圏を作り上げてくれました。
シアノバクテリアは湿った土の中で動き回りながら土や岩の破片をくっつけ、くもの巣のように入り組んだ繊維質を形成。これにより不安定な土壌が風や水の浸食に耐えられるようになります。
また窒素を植物が活用できる形に変換(窒素固定)する能力があり、砂漠のように窒素レベルが低い場所ではこれがとても重要。窒素は植物の成長に必要な三大要素のひとつです(他にリン酸とカリウム)。
そしてシアノバクテリアが作った土壌クラストは、植物の繁殖に必要な水や栄養を貯め込む力があるのです。
土の表面をクローズアップすると突起状になっているのがわかります。
ただの乾燥した黒い土だと思ってたら、実は砂漠の植物の成長に欠かせないと~っても重要な土だったのですね。
この土は人の足跡などで一度ダメージを受けると、完全に回復することは無く、再びバクテリアが育つには長い長い年月がかかるそう。
美しい砂漠の植物を守るために、私たちはこの土の上を絶対に歩かないように気をつけなくてはいけませんね。
参考: https://www.nps.gov/cany/learn/nature/soils.htm
イエローストーンの間欠泉には、熱いお湯が好きなシアノバクテリアも!↓
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