私たちが次に向かった先は、ユタとコロラドの州境にある Hovenweep National Monument(ホーブンウィープ国定公園)。
ここは1200~1300年の間に建てられた古代プエブロ人の遺跡で、円形、スクエア型、D-shapeなど、ユニークな形の遺跡があるのが特徴です。6つの集落で成り立っており、かつては2500人以上の人々が住んでいたと言われています。
”Hovenweep”とは、Ute/Paiute 族の言葉で ” Deserted Valley(荒廃した渓谷)”という意味。写真家 William Henry Jackson という人が1874年にここを訪れて、Hovenweepと呼んだそう。
長い年月の間、この人里離れた土地で誰にも邪魔されることなく佇んでいたこの遺跡群。1850年頃にモルモン教の探検隊に発見されるまで、ほどんど崩れずに残っていたそうです。
私たちはまず、 Cajon Unit と呼ばれる集落に行ってみました。ここは地図上でみると他の遺跡群からポツンと離れたところにあるのですが、Hovenweep 国定公園の一部です。
Cajon Unit へは古代人と鳥さんが道案内してくれます。
Cajon Unit は小高いキャニオンの上と下にいくつかの建物が建てられていて、80~100人の人々が住んでいたと言われています。
素敵なピクトグラフもありました。
ここは Holly Unit と呼ばれる集落。ここへの道のりはかなりデコボコしたダートロードなので、ハイクリアランス/4WD車必須。
立派な数階建てのタワーが、大きな岩の上に建てられているのが驚きですね。
こちらは Horseshoe Unit にある Horseshoe Tower。このタワーから周囲のキャニオンがよく見渡せ、防衛のために使われていたのではと言われています。
そして公園の中心部で、ビジターセンターのある Square Tower Unitへ。
Littel Ruin Trailという2マイル(3.2キロ)のループトレイルを歩いて遺跡を見ることができます。
一番面白いのがこの Eroded Boulder House 。
岩と一体化したこの遺跡、住んだら楽しそう。
こちらは Hovenweep Castle。
キャッスルという名前が付けられていますが、住んでいたのは農民で王様ではないそうです。右側の二つのタワーは D-shape(アルファベットのDの形)をしています。
Hovenweepにある遺跡の多くは、谷の崖沿い、そして湧き水など水源の近くに建てられています。人々はコーン、ビーンズ、スクオッシュ(かぼちゃの一種)などを作って暮らしていて、谷底には作物を貯蔵する Granary もあります。
別の角度から見た Hovenweep Castle。この日は満月の2日前でした。
夕暮れの空に浮かぶ月を眺めていると、かつてこの渓谷に住んでいた人々のことを自然と考えてしまいます。毎日何をして、どんな思いで過ごしていたんだろう…。今よりもシンプルな暮らしかもしれないけど、楽しくて充実した時を過ごしながら、こんな風に月を眺めていたんじゃないかな…なんて。
ところで、Hovenweepの遺跡群はメサベルデ国立公園の遺跡が作られたのと同じ時期。この時代にフォーコーナーズに住んでいた古代プエブロ人は、1300年頃までにこの地から突然いなくなってしまいます。アリゾナ州中部やニューメキシコ州のリオグランデ・バレーに移ったと言われており、ホピ族やズニ族、リオグランデ川沿いのプエブロ人が、子孫と言われています。
行き方
ユタ州南東部にある Blanding(ブランディング)と Bluff(ブラフ)が一番近い町。私たちが Blanding からアクセスしたルートは、US-191を南下、左折してUT-262(Hovenweep Rd)に入ります。約8.4マイルで左折して Hovenweep Rd(#5099)に入ります。約6.7マイルで右折してReservation Rdに入ります。約9.4マイルで左折して引き続き Reservation Rd(#413/ CR212)を6マイル進み、右折して公園に入ります。ここがビジターセンターのある Square Tower Unit です。ここまで道路はすべて舗装されていて、Blanding からは約1時間のドライブ。
トレイル情報
メインのトレイルは Square Tower Unit にある Little Ruin Trail。約2マイル(3.2キロ)のループで崖の上り下りが1か所ありますが、それ以外はほぼフラット。ビジターセンターで無料のトレイルマップがもらえるので、それを見ながら歩くと良いです。夏はとても暑く38℃以上になることも多いので、水、帽子、日焼け止めはお忘れなく。
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