今回ユタ州南東部にある Grand Gulch(グランドガルチ)というエリアに初めて行ってみました。ここにとても気になる壁画があって、それがすごく見たくなってしまったのです。
グランドガルチはネイティブアメリカンの遺跡や壁画などが点在しているとても興味深い場所。全長約25マイルのループを数日かけてバックパッキングするのが一番効率的ですが、私の見たい壁画のある Sheiks Canyon(シェイクスキャニオン)という場所は日帰りで行けるルートがあるので、それに挑戦してみることにしました。
ユタ南部の砂漠は夏の日中の気温が40℃近く。そんな暑さの中、往復約9マイルのアップダウンの多い道のりを歩くのはとても不安だったのですが… 行くと決めたからには覚悟を決めました。実は私、この日のために家の近くで一番ハードなトレイルを何度も歩いて、密かにトレーニングを重ねていたのです。
朝5時半にメキシカンハットの町にあるモーテルを出て、約1時間のドライブで Sheiks Canyon のトレイルヘッドに到着。水やスポーツドリンクなどペットボトルひとり5本、食料、カメラ2台に三脚を詰め込んで、かなりの重さになったカメラバックを背負い、いざ出発です!
最初のポイント Yellow House Ruins (イエローハウス遺跡)までは約1/4マイル(0.4キロ)。ここまでは特に難しい道のりではありません。
この付近のキャニオンは Cedar Mesa Sandstone と呼ばれるイエローがかった白っぽい砂岩でできていて、それがイエローハウスという名前の由来だそう。
後ろから見るときれいな半円形をしています。
右側の遺跡は天井がオリジナルのとても良い状態で残っているそうなので、中に入って撮影してみました。
丸太の上に細い枝が重なっていて、ところどころ草の茎のようなものでしっかりと縛ってあります。紐の結び目を見ていると、当時の人がこの天井を作っていた様子を想像してしまいますね。
1時間くらいゆっくりと写真を撮って休憩した後、目指す壁画のある Green Mask Ruin(グリーンマスク遺跡)に向かって更に歩き続けます。
しばらくは人の歩いた跡がある比較的フラットな道のりですが、その後はどんどんキャニオンを下りて深い谷へ入って行きます。途中、ここを下りるの~無理でしょ!と思うような大きな岩場を下りる部分が数か所あるのですが、なんとかルートを見つけ通過。
グランドガルチとのジャンクションまで来ると、この辺りが Green Mask Ruin だと思い込んでいた私は壁画見たさに焦ってしまい、違う方向へ進んでウロウロ探し回ってしまいました。GPSでよく確認すると目的地は反対方向。無駄に体力を使ってしまいました(泣)。
さらに狭く険しいキャニオンを下って行き、やっとのことで Green Mask の壁画パネルを見つけた時は本当に嬉しかった~。
これこれ、これが私の見たかった壁画です!
頭がない人間のようなフィギアがちょっと不思議な感じ。
これは逆子出産を表していると言われています。
見たかった壁画を前に、感激もひとしお。
ここには他にもユニークで素晴らしい壁画が沢山あります。違う年代に描かれたので、それぞれ画風が異なっています。
これはフォトショップで少し強調していますが、とても薄くてほとんど消えそうな壁画。
これも頭の形が良く似ているので、上の壁画と時期が近かったのかも。
ヘッドドレス(頭飾り)を付けているようです。よく見ると右側に鳥が何匹か描かれています。
これは黒く塗られた岩の表面に、泥で渦巻が描かれたもの。珍しい壁画です。
これもまた違ったスタイルの壁画ですね。
このピクトグラフはアルコーブ内の天井近くに描かれてるもの。5~6メートルの高さで、寝っ転がって望遠レンズで撮りました。
いったいどうやってこんな高いところに描くことができたのか… ハシゴなどを使った、もしくはこの絵を描いた後に下の岩が崩れたのか、という説があります。
そしてこれがここの主、グリーンマスクと呼ばれる壁画。
綺麗なグリーンとイエローが使われたピクトグラフです。これもかなり高いところにあってそんなに大きくないので、ちょっと見つけにくい。
ここで私たちはゆっくりとランチをとりながら、ひと通り壁画の写真を撮って過ごしました。1時間半くらいはいたでしょうか。帰り道は登りなので気が重いですが… もうひとふんばりです。
行きには気づかなかったのですが、帰り道にイエローハウス遺跡の手前でもうひとつの Granary(作物を入れる倉庫)も見つけました。岩の模様とテクスチャーがとてもいい感じです。
それにしても暑い中のハイキングは本当に疲れました。特に帰り道は疲労も溜まり暑さで頭痛もしていたので、登りの一歩一歩が辛かった。でもなんとか無事に戻ってこれて良かった!
予定ではこの後もうひとつ別の場所に壁画を見に行くつもりだったのですが、もうこれ以上歩く気力が無く、この日はそのまま宿に直行しました。
行き方
Sheiks Canyon(シェイクスキャニオン) はユタ州南東部にある Bears Ears National Monument(ベアーズイアーズ国定公園)内に位置しています。一番近い町は Mexican Hat(メキシカンハット)。US-163 から UT-261 に入り、途中 Moki Dougway(モキダグウェイ)を通りながら約21.7マイル走ります。Milepost 21と22の間にあるダートロード(#251) を左折し、1.2マイル走ると Bullet Canyon という別のトレイルヘットにぶつかります。ここから道が右に(北方向)続いているので約1.4マイル進み、左側に出てくる道を約3マイル進むと Sheiks Canyon のトレイルヘッドに到着。私たちが行った時は0.3マイル手前に看板が立っていて、この先の道が崩れているのでここに駐車するようにと書いてあったので、そうしました。ダートロードは乾いていれば良いコンディションですが、ハイクリアランス車は必要です。
トレイル情報
往復約9マイル(約14.5キロ)、急なアップダウンがいくつもあるので比較的難しいルートだと思います。はっきりしたトレイルは無いのでGPS必須。私たちはネット上で見つけたGPSトラックを頼りに歩きました。ケルンはところどころ参考程度には置いてあります。手を使って岩場をよじ登ったり下りたりするところが多々あります。足元の岩がルースだったり滑り易い部分もあるので注意。道なき道を行くので、ある程度のルートファインディングのスキルは必要です。通常は半日(4~5時間)で戻ってこれるコースですが、私たちは暑さで体力が消耗し頻繁に休憩をとったこと、それぞれの場所でゆっくりと時間をかけて撮影したこともあり、トータルで7時間以上かかりました。夏はお勧めしませんが、暑くなる季節にはどんなに重くても水と食料を十分に持って行ってください。
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お疲れ様でした。記憶がよみがえり私まで疲れてきました。我々はSheiks Bullet Loopを日帰りで歩いたのですか,今でもあれは何かの間違いではと思っています。朝6:00から車に戻ったのが7:00時頃,休憩も入れて,確か8時間位と言われていたので…。難しいハイキングコースですね。よく頑張られますね‼︎
Hiroさん
Sheiks Bullet Loopを日帰りで歩いたなんて凄い!!距離ももっと長いし更に難しいルートと聞いています。相当な気力と体力が必要だったことと思います。私は今回Sheiks Canyonで精一杯でしたが、いつかBullet Canyonも行けたらいいなあ。Perfect Kiva Ruin を見てみたいです。まずはもっと体を鍛えないといけませんね!